
2011/07/07

山奥の澄んだ渓流で育つワサビは、その学名「Wasabia japonica」からもわかるように、日本原産の植物です。蕎麦や刺身などの日本料理だけでなく、醤油と合わせたドレッシングはサンドイッチとも調和する「和の薬味」なのです。
ワサビを食べると、鼻の奥にツーンとした独特の辛さが広がります。その正体は、「イソチオシアネート」という成分。しかし、植物自体にはこの成分は含まれていません。では、どうして食べたときに辛く感じるのでしょうか。
じつは、私たちがワサビを使うときに行う、あの行為に秘密があります。それは、「すりおろす」こと。細胞中には、グリコシノレートという物質が含まれています。ワサビをすりおろすと、細胞が壊され、細胞壁から酵素ミロシナーゼが放出されます。これがグリコシノレートと出会い、加水分解が起こることではじめて、イソチオシアネートがつくられるのです。同じ辛さでも、マスタードや唐辛子は、鼻の奥がツーンとしませんね。これは、イソチオシアネートが蒸発しやすい性質を持っているためです。そのため、口に入ると鼻腔内へと広がり、痛みを感知する神経を刺激するのです。
近年、イソチオシアネートには、がんや動脈硬化、高血圧の原因のひとつといわれている酸化ストレスを排除する作用があることがわかってきました。病気の予防効果も期待されています。
蒸し暑い日が続く夏、ワサビの辛味が誕生する瞬間を、みなさんも体験してみてはいかがでしょうか。
